IPMって何??
こんにちは。最近イチゴを見ているだけで嬉しくなってしまう新井田です。
前回は「天敵農法」について触れましたが、今回はもう少し大きな話、「IPM」についてご紹介します。
IPMとは、英語のIntegrated Pest Managementの頭文字であり、日本語で「総合的病害虫管理」を意味します。もっと言うと、IPMは病害虫や雑草防除において、化学農薬だけに頼るのではなく、天敵や防虫ネットなどさまざまな防除技術を組み合わせ、農作物の収量や品質に経済的な被害が出ない程度に発生を抑制しようとする考え方のことです。
技術開発の分野では、試験研究機関を中心に化学農薬に頼らない栽培技術の研究は行われていました。しかし、これまでは防除効果の高い農薬があり、これらの技術は一部の地域でしか使われていませんでした。その一方で、ナスやピーマンの重要害虫で農薬の効果が低くなるなど化学農薬を中心とした防除の限界も見え始め、生産現場においても新しい技術を求める声があったようです。
そこで、試験研究における技術開発と併せて、ナス産地である高知県安芸(あき)地域で1992年から交配昆虫、1997年から天敵の導入試験が開始され、1999年からはこれらの技術を中心としたIPM技術の本格的な導入が始まりました。
その後、安芸地域だけではなく、施設ナス類、施設ピーマン・シシトウ、施設ミョウガなどを中心に県内全域の施設園芸産地で天敵利用技術の導入が進みました。また、作物の種類や栽培方法により天敵の利用に向かない産地においても、化学農薬だけに頼らずIPMを実践しようという意識が高まっています。
天敵の中には、「土着天敵」と呼ばれるものがいます。土着天敵とは、畑の周りの身近な自然にいる地元の天敵たちのことであり、ここ高知県では、海外から日本にやってきた侵入害虫から農産物を守るため、土着天敵を積極的に利用しています。土着天敵を農業技術として安定的に利用するため、土着天敵の温存技術が開発され、地域や品目を越えた協力体制がとられているのです。
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