忘れること、忘れないでいること

東日本大震災から今日で10年を迎えました。


この時期になると、テレビや新聞でもにわかに震災関係のニュースが増えます。そこでは当時の写真や映像を目にする機会もあり辛い気持ちになることも、また、少しずつでも前に進んでいる何かを目にして勇気づけられることもあります。


私が炊き出しの支援活動をしていた時に出会った男性の言葉を毎年思い出します。宮城県石巻市沿岸部に暮らし、津波で自宅を失い借上げ住宅で暮らしているあるご家族を訪ねた時のことだったと記憶しています。


「避難した経験や家族と離れて暮らすこと、仕事がなくなったことは忘れることができない。残りの人生、辛い気持ちのまま生きていくのは苦しい。人間には“忘れる”という能力があるから、俺らは辛い経験をいつか忘れてもいいのかなと思っている。でも、今回の原発事故や震災の怖さを、被災地以外の人たちには忘れずにいてほしい」


男性のその言葉はとても印象的で、10年経った今でも心の中に残っています。以来、私自身、「忘れること」と「忘れないでいること」の、それぞれの意味を考えるようになりました。


震災のあった2011年3月以降、日本全体が電気の使用を控え、一人ひとりが生活することや消費することに向き合っていました。しかし、時間が経つにつれ、その経験やその時の思いを「忘れて」しまっているのではないかと、時々ハッとすることがあります。


津波で被災した男性が話してくれたとおり、被災地以外に暮らす私たちにできることは、「忘れない」ということだと思います。自然の怖さや原発事故、避難生活の辛さなど、私たちの記憶にしっかりと留めておくことで、日常の意識を変えることができるし、その結果社会を少し良い方向に変えることができると信じています。


復興の支援活動に少なからず携わった者として、ここ宿毛の地からできる支援をこれから先も続けていきたいと思います。

スタートアグリカルチャーすくも 宿毛市で農業研修

平成31年に社団法人として立ち上げた農業公社です 自然豊かな高知県の西に位置する宿毛(すくも)市で、 毎日農業に触れながら精一杯頑張っています! 多くの方々に宿毛市を知っていただきたく 日々の活動を掲載していますので、 少しでも気になった方は覗いてみてください🍓

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