幻の柑橘・直七のルーツを探る!
こんにちは。 今日から10月ですね。この時期はいろいろな食材が旬を迎え、秋の味覚がますます楽しみになってきますよね。
さて、今日は宿毛市の特産・直七(なおしち)についてお話したいと思います。
「直七」は広島県尾道市田熊(たくま)で発見された香酸柑橘の一種で、正式名称は田熊スダチと言います。現在、広島県では栽培されておらず、主に高知県の南西に位置するここ宿毛市で栽培されています。地元では「酢みかん」として愛されてきた希少な果実なのです。
その昔、「魚にかけるとうまいよ~」と広め歩いた行商さんがいて、彼の名前「直七」がその酢みかんの名前になったそうです。1948年に刊行された『日本柑橘図譜』(田中 諭一郎・著)にも、スダチの仲間の項に、ちゃんと「直七(Naohichi)」として紹介されているのです。その希少性から「幻の柑橘」とも呼ばれ、今や全国から注目を集めている直七は、独特の爽やかな香りと、ジューシーな味わいが人気のヒミツです。
四国や九州には、ユズやダイダイ、スダチなど、酢みかんの穏やかな酸味や、独特の香りを調味料とする食習慣が根強く残っています。それが全国にも広まって、カボスやジャバラなど、地元でしか知られていなかった香酸柑橘類が注目されるようになりました。直七も、そんな酢みかんの一つです。他の柑橘同様に、水はけの良い土地・陽当たりを好むので、みかん畑の隅っこに植えられていたこともありますが、宿毛市で直七を生産している「直七生産株式会社」では、他の柑橘との交雑を避けるために、山中を切り拓き、隔離した畑で栽培しています。直七の純血を守る…そのために、農作業には少し不便でも山中の畑で栽培することを選択したのです。市街地から離れた山中のきれいな空気、清浄な水なども自慢のポイント。希少な直七の遺伝子を守り、清浄な環境で育てることにこだわっています。
毎年10月7日を「直七の日」と決めたのは、「直」の字に「十」が含まれていることと、「七」にちなんでのこと。もちろん、この時期に収穫を迎えるタイミングだからこそ、ですけどね。市内では「直七フェア」を開催して、直七の美味しさを味わっていただこうという試みも回を重ねています。直七さんが勧めて歩いたように、魚はもちろんですが、 肉や野菜、飲み物からスイーツまで、直七の果汁を使ったメニューがお披露目されます。
この機会に、皆さんも、幻の柑橘と言われる直七を味わってみてはいかがでしょうか?
(参考文献)
『日本柑橘図譜(上、下巻)-日本に於ける柑橘の種類に関する譜学的研究』田中 諭一郎、1948年
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